メンタルコンディショニング講座

第 4回 「守りの姿勢」が油断生む 集中力を鍛え勝利つかめ(08年1月号掲載)

スポーツ競技において、試合途中で勝負がついたような展開になるときがあります。球技種目でいえば、得点差が大きく広がったときです。

逆転負けの理由

こんなとき、リードした側が「よし勝てる。この試合はもらったな」と、勝利を確信する気持ちになっても不思議ではありません。しかし、その「勝った」と思う気持ちには、一つひとつのプレーに対してだけではなく、作戦・戦術など勝つために必要なあらゆることに対して、何らかの悪影響を及ぼす危険性があるのではないでしょうか。それが、時々目にする「大逆転負け」という悲劇的な結末を生み出してしまうことになるように思えます。

筆者は、大逆転負けがなぜ、どのようにして生まれるのかに関する研究を行っています。これまでの大学女子バスケットボール部を対象とした研究から分かったことの一つは、大きな得点差をつけたチームが、いわゆる「精神的に守りに入る」状態になってしまう傾向にあることです。

「攻撃は最大の防御」ともいわれます。リードを守ろうという気持ちで戦うのではなく、最後まで必死になってボールを奪い、1点でも多く取る、という積極的な姿勢を持ち続けることが大切です。

勝負の行方がどうなるか分からないうちは、誰しも必死になります。相手よりも勝利に近づくために、戦う気持ちを強く持ち、積極性を発揮することができます。しかし、勝負の行方がおおかた見えてきて、勝てる感じが強くなるにしたがって、勝ちたいという気持ちが少しずつ薄れ、消極的プレーになりがちです。

積極性・必死さ・執着心

このように考えると、リードを奪った後の選手一人ひとりの気持ちとして、積極性・必死さ・執着心というものがとても重要になるように思えます。そして最後の最後まで、それを持続することが大切になります。これは逆に、リードされた側にとっても同じで、あきらめずに最後まで戦い抜くことの重要性として理解できるでしょう。

以上に述べたことを試合で実践できるようになるためには、集中力を持続することが必要になります。試合では、終了するまで集中力を切らさず、勝つために必要なことを最後の最後まで油断しないでやり抜くことが求められます。

前回取り上げた、集中力のトレーニングは、いすに座って肩をゆっくり上げ下げする簡単な反復動作ですが、辛抱強く繰り返すことで集中力を高めることができます。手軽にできる、このトレーニングを通じて、メンタルコンディショニングの能力を磨いてください。

次回は、緩んだ気持ちを立て直すためのアクティベーション(リラクセーションの逆)の方法を紹介したいと思います。

(岩田真一=日本女子体育大講師)