スポーツのための栄養学

第 4回 筋肉づくりと食事について(06年12月号掲載)

競技力向上のためには、筋肉量の増加は欠かせません。筋肉量の増加は、筋力の増加につながっています。つまり、競技力向上のためには、筋肉づくりが必要となります。筋肉づくりのためには、トレーニングによって受けた筋肉のダメージを修復する必要もあります。

筋肉づくりとたんぱく質

筋肉は主に、たんぱく質から成り立っています。たんぱく質は、20種類のアミノ酸がさまざまな形で結合してできています。そのうちバリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、リジン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンは、体内で必要量を合成することができないため、必須アミノ酸と呼ばれています。その他のアミノ酸は、体内で必要量を合成することができます。

たんぱく質の質について

食物たんぱく質の質が良いかどうかは、必須アミノ酸のバランスで決まります。一般的に肉や魚といった動物性たんぱく質のほうが、植物性たんぱく質よりも質が良いといわれています。動物性たんぱく質の必須アミノ酸のバランスが人の必要とするバランスに近いためです。しかし、植物性のたんぱく質を多く含む食品でも、食品の組み合わせによって、質のよいたんぱく質になります(補足効果)。

どのくらいのたんぱく質を取ったら良いのか

筋肉量を増加させるためには、たんぱく質をたくさん取らなければいけないと考える人は多いかもしれません。必ずしもそうではありません。
一般的に人が必要とするたんぱく質は、体重1Kgに対して1日あたり0.93gとなります。例えば60Kgの人であれば、55.8gです。

筋肉づくりを目的とした場合、人体を構成する「体たんぱく質」の合成を高めることが必要です。そのためには、トレーニングが不可欠となります。トレーニングをしながら、たんぱく質の摂取量を増やすと、体たんぱく質の合成が高まることが知られています。しかし、たんぱく質の摂取量を増やすだけでは、体たんぱく質合成が高まらないことも確認されています。筋肉づくりのためには、トレーニングが不可欠となります。

では、どのくらいのたんぱく質を取ったら良いのでしょうか。1日に体重1Kgあたり1.5〜2.0g程度となります。60Kgの人であれば、90g〜120gです。日常の食事から十分に摂取可能な量です。

たんぱく質は取れば取るほど良い、と考える人もいるかと思います。しかし、筋肉たんぱく質の合成に利用できるたんぱく質には限りがあります。効率よく筋肉づくりを行うためには、食べるタイミングも大事です。トレーニング終了後、なるべく早く食事を取ることです。無理な場合は補食で対応します。

体たんぱく質合成に利用されなかったアミノ酸は体脂肪として蓄積される場合もあります。筋肉づくりのためにはたんぱく質は欠かせません。しかし、むやみに取らないよう注意することも必要です。

(亀井明子=女子栄養大非常勤講師、国立スポーツ科学センター研究員)