スポーツのための栄養学

第 9回 試合当日までの食事について(07年6月号掲載)

試合では、練習どおりの実力が発揮できるように身体面、精神面を整えることが大切です。試合という一過性の場で、自分自身の持っている力を最大限に発揮できるような状況をつくる必要があります。

試合前といっても、時期には大きく分けて2つの考え方があります。1つは試合に向けて、つまり約1週間前から試合当日までの食事について。もう1つは、試合直前(当日の朝食など)についてです。今回は、前者の試合当日までの食事について考えます。

試合前の食事に求められる役割について「アスリートのための栄養・食事ガイド」(日本体育協会監修)では以下のように述べられています。

①筋肉のエネルギー源として筋グリコーゲンを蓄えること
②脳・神経のエネルギー源としての肝グリコーゲンを蓄えること
(あるいは血中ブドウ糖濃度を維持すること)
③体調を整えること
④体温を上昇させ、やる気を起こすこと
⑤空腹感をなくすこと
⑥消化に時間のかかるものを避けること
⑦腸内にガスがたまるようなものを避けること

グリコーゲンを貯蔵

試合前の食事の調整法の一つとしてグリコーゲンローディングという方法があります。参考までに紹介します。

体内に貯蔵されている糖質はグリコーゲンといいます。主に筋肉や肝臓に貯蔵され、持久系運動時のエネルギー源となります。筋グリコーゲンが不足すると、エネルギー源として糖質が利用できなくなり、疲労を招く結果になります。

また、体内に蓄積される糖質の量には限りがあります。そこで、試合前に十分糖質を蓄えておくことで、試合時の疲労を遅らせることができます。

3日前から高糖質食

グリコーゲンローディング法の食事では、グリコーゲンを高めるために、目標とする試合の1週間から3日前は通常の食事を取り、3日前から高糖質食に切り替えます。また、1週間前からは調整練習として運動量を低下させ、筋グリコーゲンを消費させないようにします。

高糖質食では、3000キロカロリーのエネルギーを必要とする人の場合、525グラムの糖質が必要となります。525グラムの糖質をすべてごはんに置き換えると、1回の食事で大きめの茶碗2杯分となります。コンビニのおむすびでいうと、約4個分となります。主食(ごはん、パン、めんなど)の量を増やし、主菜(たんぱく質源となるおかず)を減らし、副菜を十分に取ってビタミン、ミネラルをしっかり摂取することが必要となります。

適切な糖質量を知る

注意したいことは、糖質をしっかり取らなくてはならないという思いから、むやみに多く取ったり、糖質食品だけに偏ったりしないことです。自分自身にとって適切な糖質量がどのくらいなのか確認したい人は、管理栄養士といった栄養の専門家に相談することです。

また、糖質食品に偏ってしまうと、コンディションの維持に必要なビタミン、ミネラルの摂取不足を招きます。さらに注意したいことは、グリコーゲンローディングを本番の試合で初めて試すということは避けてください。大事な試合の前には必ずシミュレーションをして、この方法が自分の体に合っているのかどうか確認することが必要となります。

グリコーゲンローディングは、運動選手すべての人に適切な方法というものではありません。本来の目的からすると、持久系運動の選手(マラソン選手など)にとって有効とされる方法であり、かつ個人差があるということを頭に入れておいてください。

(亀井明子=女子栄養大非常勤講師、国立スポーツ科学センター研究員)