スポーツマインド

第 6回 しごきと称した暴力 いつになったらなくなるのか(07年10月号掲載)

ぼくはスポーツは好きだが、学校の運動部にはいろうと思ったことは1度もなかった。以前書いたようにスポーツが不得手だと勝手に信じこんでいたせいもあるが、運動部にはいると、しごきと称して上級生に殴られるのを知っていたからだ。

それからもう40年にもなるが、事態はあまり変わっていないらしい。先月27日に学生野球協会が不祥事のあった33の高校の処分を発表したが、その多くが部員をはじめ、部長、監督、コーチなどの暴力に対するものだったのである。

むろん、なかにはそれなりの理由があって殴ったケースもあるのだろうが、以前読売ジャイアンツのピッチャーだった堀内恒夫からつぎのような話をきいたことがある。彼は高校1年のときからベンチ入りしていたので、上級生からことに憎まれていたらしい。

「殴る連中というのは、殴る理由がないときは、1年生がきれいにグラウンド整備したところにわざと小石を落として、それを理由に殴るんだよ」

現在、部長や監督やコーチをしている人たちも、かつて似たようなことをされたのではあるまいか。それなのに、どうして延々と同じことがくり返されるのだろう。人にやられていやだったことは、人にもやったり、やらせたりしなければいいではないか。

それとも、指導者の地位にいるような人々は、しごきに遇ってもそれに耐えて生き残った人々ともいえる。耐えることで忍耐力や根性が養われ、よきスポーツマン、あるいはよき社会人になれるとでも思っているのだろうか。

折しも、相撲界では、時津風部屋に入門したばかりの17歳の若者が死んだことがあきらかになった。死の直前に親方や兄弟子から度を越したしごきを受けたときく。
いったい、いつになったらスポーツ界からこういうバカバカしいことがなくなるのだろう。

(作家)