スポーツマインド

第 9回 高卒新人、数年で自由契約(08年1月号掲載)

プロの宿命だが、いつも胸が痛む

プロ野球のオフは新人の季節だ。このオフも、高校生39人、大学生社会人34人、計73人がドラフトで指名され、中田翔(大阪桐蔭)、佐藤由規(仙台育英)、大場翔太(東洋大)などが話題になった。彼らが初々しい表情で将来の夢を語るのをきくのは楽しい。

しかし、彼らのように注目はされないが、プロ野球から去って行く選手もいる。1球団あたり70人という保有選手枠があるからだ。10人の新人が入団すれば、10人の古い選手が押し出されるのである。このオフも、全体で20人の外国人選手と70人あまりの日本人選手が自由契約という形で押し出された。

むろん、その中には佐々岡真司(広島)や吉井理人(ロッテ)のように、選手生命をまっとうして引退した選手も含まれている。しかし、入団してまだ3年か4年しかたっていない新人同然の選手もすくなくないのである。彼らのことを考えると、いつも胸が痛む。3年前、4年前に入団契約をしたときは、そのうちの誰1人としてこんなことになるとは思っていなかっただろう。

ぼくが数えたところでは、日本人選手70人あまりのうち、19人が入団4年以内で、そのうち8人は高卒選手だった。もっとも若い選手は19歳、高卒後1年で自由契約になっている。

以前、西武ライオンズの管理部長をしていた根本陸夫氏もこういっていた。

「彼らがかわいそうでね。常識的に考えて、高校生だったら1人前になるまでに5、6年はかかるんですよ。でも制限枠があるために、ちゃんと見きわめるまで置いておけない。はっきり駄目だと分かる選手はしょうがないけど、惜しいなという選手が毎年その中に何人かいるんですよ」

Jリーグでも事情は同じだ。12月に来季の契約を更新されなかった選手たちのトライアウトがおこなわれたが、そこには81人が集まった。そのうち27人が22歳以下だった。

将来への希望を胸にプロ入りしながら、高校を卒業してわずか3年か4年でそれを断たれてしまう選手の何と多いことか。それがプロ選手の宿命とはいえ、彼らはその現実をどうやって受け入れるのだろうと考えずにはいられない。

(作家)