スポーツマインド

第10回 大量得点での盗塁(08年2・3月号掲載)

プロは「認めず」アマでも検討を

1月10日にプロアマ合同の日本野球規則委員会が開かれ、プロ側は今季から得点差が大きく開いた際の盗塁を記録しないことを決定した。アメリカや台湾、韓国ではすでにそうしているが、日本でもようやくバカげたことがなくなるわけだ。もともと野球規則では10・08(条)項でつぎのように定められている。

「走者が盗塁を企てた場合、これに対して守備側チームがなんら守備行為を示さず、無関心であるときは、その走者には盗塁を記録しないで、野手選択による進塁と記録する」

しかし、これまではこの規則が適用されてこなかったために、とくにシーズン終盤になると勝敗に関係のないところでしばしば無用の盗塁がおこなわれ、それで盗塁王が決まったりしてきたのである。

同じことは高校野球でも見られる。1998年の夏の甲子園の青森県大会で、東奥義塾が深浦高校に122対0で勝った試合ではじつに76盗塁が記録された。1回表だけで42人が打席に立ち、27安打で39点。その攻撃は57分間つづいたそうだが、そういう一方的な試合で76盗塁もすることにどんな意味があるのだろう。

深浦高校のピッチャーは1回表にすでにつぎのように思っていたという。
「いったい、いつ終わるんだ。やめてくれ」
当然のことだろう。

これは極端な例かもしれないが、甲子園の本大会でも、10対0で勝利が確実なチームが9回になってもまだ盗塁やバントをして、敗者のプライドを平気で逆撫でするシーンをしばしば見るのである。そのたびに、ぼくは、高校野球の監督はそれで双方の生徒に何を教えようとしているのだろうと思う。勝者は敗者をつぎの試合の練習台として踏みつけにしてもよく、敗者は勝者に踏みつけにされても仕方がないということだろうか。

そんなことはないので、野球場をたがいの敬意に満ちたものにするためにも、アマ側もプロ側の決定にならったらどうなのだろう。

(作家)