もう40年も前のことだが、高校の世界史で人頭税というのを習った。為政者が考えられるかぎりの税金を取ったあとで、なお足りないというので、納税能力にかかわりなく、すべての国民に一人いくらと一律に課す悪税だ。有名なのに、1380年のイギリス、ルイ16世時代のフランスの人頭税があるが、いずれも国民の反乱や革命によって、ときの政権が倒れた。それで、人頭税というのはそれを課した政権の末路を示すものだと習ったのである。
そういう古い昔のことを思い出したのは、ほかでもない。日本バレーボール協会が、去年の4月から、選手登録制度をチーム単位から個人単位に変更したために、一部の中学や高校と対立していると知ったからだ。なんでも、それで、中学は1チームあたり年間2千円、高校は1万円だった登録料が、中学で1人500円、高校では1人1200円になったのだそうだ。
協会によれば、日本代表が世界で勝てなくなって、企業からの協賛金や広告費が減少したからなのだそうだが、その不足分を選手一人ひとりから一律に取るというのだから、立派な人頭税といわざるをえない。
中学、高校の指導者が反対するのは当然で、2月15日付の朝日新聞によれば、東京では男女延べ570校の高校のうち、男子で約70校、女子で約80校が未登録だというし、大阪で2月に開催した中学生の大会では、ボイコットが相ついで、参加校が昨年の400校から半減してしまったらしい。
「十分な説明なく導入されたのが一番の問題。部活動に生徒がお金を払わないといけないというのもおかしい」(都立高校女子バレー部顧問)
ようするに、協会は何のためにあるのかということだろう。選手のために協会があるのか、協会のために選手があるのか。
世界史の例にならえば、バレーボール協会は末路に向かって進んでいるといってさしつかえないだろう。
(作家)