スポーツマインド

第13回 五輪ソフトボール「金」 (08年10月号掲載)

投手起用に国民性の違い

スポーツの国際試合を見ていると、その戦い方に国民性のようなものがあらわれて、同じ競技をしているのに、国によってこんなにちがうものかとおどろかされることがある。北京オリンピックのソフトボールの試合でもそれを感じた。最後は日本がアメリカに勝ってオリンピック初の金メダルを獲得したが、そこに至る両者の戦い方はあまりにもちがうものだった。

ソフトボールの決勝トーナメントは、ページシステムという独特のやり方でおこなわれ、予選2位の日本は1位のアメリカと準決勝を戦い、1対4で敗れた。それが8月20日の午前のことで、その日の午後にこんどは4位決定戦に勝ったオーストラリアと3位決定戦を戦って4対3で勝った。いずれの試合も上野由岐子が先発完投し、一日で318球を投げた。それで翌21日の決勝戦で再びアメリカと戦うことになったのだが、おどろくべきことに上野はまた先発して完投したのである。人ごとながら、疲労で倒れるのではないかと心配した。

一方のアメリカは、準決勝の日本戦では先発のアボットが延長9回のうち8イニングを投げて、オスターマンが1イニングをリリーフ。決勝では、前日に2試合戦った日本より余裕があったにもかかわらず、こんどはオスターマンが先発して5イニングを投げ、アボットが2イニングをリリーフしたのである。

負担の分散。アメリカは、野球でも、1人のすぐれたピッチャーだけに負担をかけないためのローテーションというものを考え出した国だ。ソフトボールでも見事にそれが実行されているわけだが、いざとなるとなぜか背水の戦いをしてしまう日本とはじつに好対照というほかない。

むろん、だからといって、どちらの国のやり方がいいとはいえない。アメリカのやり方を見て、負けてはなんにもならないではないかという人もいるだろう。しかし、長い目で見た場合、どちらが健康で合理的かといえば、アメリカのやり方のほうのように思える。

 

(作家)