暮れから正月にかけての全国高校ラグビーを見ていて、教師と生徒のつながりというのはじつに面白いと思った。
高知県代表として創部2年目の高知中央が出場したが、一昨年春のスタート時のメンバーはたったの10人で、ほとんどは不登校や他の部活で落ちこぼれてぐれていた生徒だったという。その高知中央ラグビー部のゼネラルマネジャー(GM)になったのが、ラグビー元日本代表の大八木淳史氏だった。
「言葉は悪いが、一度ドロップアウトした連中。でも、そのまま退学してしまうと、人生からも脱落してしまう。ラグビーで変えてやりたい」
そう考えてGMを引き受けたのだそうだが、おそらくその根底にあったのは自分が受けた教育を高知中央の生徒たちにもほどこしてやろうという気持ちだったのではあるまいか。
周知のように、大八木氏は伏見工の出身で、伏見工ラグビー部も当初はぐれた生徒の集まりだった。そこに、やはりラグビー元日本代表の山口良治氏が監督として就任して、大八木氏や平尾誠二氏を輩出するような強豪校にしてしまったのである。大八木氏はその山口監督の下で多くのことを学び、同じことをしようとしたのだと思われる。ちゃんとした師の下で学ぶと、弟子はそのあとを追い、師と同じことをしようとするのである。
そして大八木氏は高知中央を2年で県の代表にしてしまったのだった。たぶん、この快挙をもっともよろこんだのは、大八木氏の師の山口氏だったろう。
その一方で、佐賀工のラグビー部員が対戦相手の茗渓学園の練習をビデオで無断撮影して、大会実行委員長に「モラルに反する」と厳重注意される事件があった。誰がそんなことをさせたのか知らないが、中にはこういうふうに生徒にスパイもどきのことをさせる学校もあるのである。見つかったからよかったものの、この学校の監督は撮影した生徒やそのビデオを見るはずだった生徒たちに何を教えようとしたのだろう。
そして同時に、この監督はどういう師の下でどういう教育を受けたのだろうと思ったのである。
(作家)