日本アマチュア野球規則委員会が、「ミットを動かすなキャンペーン」というマナー違反防止運動をはじめたそうだ。
どういうことかというと、プロ野球のキャッチャーを見たかぎりでいうのだが、彼らは捕球時にしばしばミットをストライクゾーンに動かして審判を欺こうとする。ギリギリのコースをボールと判定されたときには、ミットをしばらく捕球したままに止めておいて、ストライクだろうとアピールすることもある。そういうことはするなということだ。そして、それをアマチュアの連盟がいい出したということは、アマチュアのキャッチャーもやっているということなのだろう。
「ミットを動かすように指導された選手は多いはず」
日本野球連盟の規則・審判委員長もそういっているそうだ。
では、どうしてそれをやめようということになったのか。キッカケは、去年の北京オリンピックで各国の審判からつぎのような声が続出したことらしい。
「なぜ日本の選手はわたしたちを騙そうとするのか」
しかも星野仙一代表監督は彼らを公然とヘタクソだとこきおろした。その結果、日本は多くの審判を敵に回してしまったのである。
それでは国際試合に勝てないということなのだろうが、いずれにせよ、ミットを動かすのをやめることはいいことだ。
日本では昔から、ミットを動かすのはキャッチャーの高等テクニックとして、むしろ評価されてきた。近年のその代表格は元ヤクルト・スワローズの古田敦也だとぼくは思っているが、彼は頭脳派ともいわれた。だからアマチュアの指導者たちもミットを動かすように指導してきたのだろうが、それを高等テクニックだの頭脳派だのというのは、野球界だけのことにすぎない。世間一般では、人の目を欺き騙すことは、頭のいいことでも何でもなく、ただずるがしこいというのである。
そういうことは、とくに高校生諸君は学ぶ必要はない。
(作家)