トレーニング論

第19回 適切な休養・栄養摂取が不可欠(08年4月号掲載)

新しく高校生になり、トレーニングウエアに袖を通したアスリートが、スポーツの技能を向上させるためにぜひ知っておいてほしいことと、留意しなければならないことについて述べたいと思います。

回復過程で効果が得られる

スポーツの技能を高めるためには、身体的トレーニングが不可欠です。このときの運動の量や質のことを運動負荷といいます。負荷によって体の構造や機能が改善される際、体の中から水分や糖質、脂質などのエネルギー源、そしてミネラルやビタミンが大量に消耗されます。また、筋肉(骨格筋)に微細な損傷が起きることもあります。

身体的トレーニング効果というのは、運動負荷によるダメージから回復する過程で得られるものです。回復のためには、クールダウンやシャワーの使用、適切な睡眠を取るのはもちろんのこと、負荷の内容に対応した栄養摂取が行われたかが問題となります。

かつて、ノーラン・ライアンというメジャーリーグの歴史に残る大投手がいました。ライアンは、試合に登板した日は急いで帰宅し、妻が用意した網焼きの肉をほお張ったそうですが、これによって微細損傷した筋肉のメンテナンスをしていたのです。これが長距離走の後でしたら、違う食事内容になるでしょう。

健康度で変わる運動負荷

スポーツトレーニングとは、以上のようなものですから、アスリートの健康度によって負荷の量と質が変わってきます。どのような運動負荷がその人にとって適正なのかは、メディカルチェックの情報を基に考えられるのです。

健康度の高いアスリートほど、質的にも量的にも優れたトレーニングに耐えられるし、回復も順調に進行するのです。そして健康管理の柱は自己管理、すなわちトレーニング内容と調和の取れた休養、栄養の摂取を日々心掛けることです。

(田中誠一=浜松大教授・東海大名誉教授)