トレーニング論

第21回 自分の健康度を把握しよう(08年9月号掲載)

せみ時雨も鳴きやみ、青空にいわし雲が走る時季になりますと、花園に集う高校生ラガーメンや都大路を目指す長距離ランナーたちは、いやが上にもトレーニング(練習)に熱が入ります。競技力の明らかな向上が必要とされる、本番100〜120日前の時期に足を踏み入れるためです。

トレーニングについて説明を受ける場面では「健康度によってトレーニングの質と量が決まる」とよくいわれます。そのとおりであることは、競技者なら誰でも承知しています。

メディカルチェックの重要性

秋は「天高く馬肥ゆる」季節ですから、トレーニングには申し分ないでしょう。しかし、その環境を十分に生かした高度なトレーニングのできる身体コンディションが保たれているかどうか、をチェックする必要があります。

それがメディカルチェックです。少なくとも血液の科学的検査と尿分析だけはきちんとやっておきましょう。

なにしろ日本の夏は高温多湿です。この中でインターハイや甲子園が行われ、また、炎天下での応援にも声をからす競技者は、良好な身体要件を保つという点で、決して油断してはいけません。

ちまたでよく聞くではありませんか。「ここにきて夏の疲れがどっと出た」と。競技者ならなおのこと、夏場のつけが身体の中にたまっていても不思議ではありません。

基礎力の充実も忘れずに

ぜひメディカルチェックを受け、自分の健康度を把握したうえでトレーニング計画を立てて遂行しましょう。「血の小便をしながら厳しい練習に耐え抜いた」という話が美談として語られる時代ではないのです。

さらに、基礎力の充実を忘れることのないようにトレーニングに励むべきです。基礎力は競技力が高まるほどに高いレベルが求められます。「もう基礎的なことは十分身に付いている」という話は成り立たないことを忘れずにいてください。

(田中誠一=浜松大教授・東海大名誉教授)