トレーニング論

第23回 バランスのよい身体づくり(09年1月号掲載)

合理的にトレーニングをしていれば、スポーツのパフォーマンス(出来栄え)が向上してくると思われがちですが、必ずしもそうとはいえないのです。

あるスポーツ、例えばテニスのトレーニングに励んでいたとしましょう。テニスの技能は高まってきたのに、急に進歩が止まったり、意欲が減退したりすることがありませんか。時には予期しない病気にかかったり骨折をしたり、ということが起こるのはなぜでしょう。

トレーニングの2本柱

スポーツトレーニングは、2本の柱から成り立っています。1本目の柱は、専門性に裏付けられたトレーニングです。テニスプレーヤーの場合は、強い球を打つために上半身をたくましくすることや、一瞬のうちに走る方向を変える能力を養うことなどです。2本目の柱は、健康度を維持し、できることなら高めるためのトレーニングです。

誰しも勝つため、強くなるためを考えます。強いストロークや速くボールを追える脚力に理解を示し、熱中するでしょう。

しかし、そういうふうに鍛えられた身体が、疲労から早く回復させてくれたり、ちょっとしたアクシデントから立ち直らせてくれたりするかというと必ずしもそうではありません。近代トレーニングでは、健康度を高めるトレーニングを欠かしてはいけないのです。

休養日は体調管理日

トレーニングや試合の後に入浴、ストレッチを丁寧に行わないスポーツマンはいないでしょう。これはスポーツマンの日課で、コンディションエクササイズの柱です。特に、瞬発力の必要な白筋中心型スポーツである短距離走、投てき、柔道などは、休養日にロングジョギングをするか、少なくとも30~40分以上かけて大汗をかくことが大切です。

トレーニングでは、バランスのよい身体づくり、疲労回復、効率のよい脂肪燃焼などに考慮して行うべきです。休養日は体調管理日、と思うことを勧めます。

(田中誠一=浜松大教授・東海大名誉教授)