エクササイズに伴って、運動中あるいは2日後ぐらいに筋肉痛が生じることがあります。かつては、日ごろあまり使っていない筋肉を急に使い過ぎたり、過度な筋力トレーニングなどが原因とされていました。痛みについては、筋肉の収縮過程で生じた乳酸が部分的に痛みの受容器を刺激している、とだけ説明されてきました。
確かにトレーニング後に入浴やマッサージ、ゆっくりとしたジョギングで血流を良くして十分な酸素を供給することで痛みが軽減されることもあります。しかし、これだけでは解決できない筋肉痛の方が多いのが現実です。
特に運動中に生じた筋肉痛は、軽い筋収縮の繰り返しが原因のため、血液循環では改善されません。この種の筋肉痛は筋細胞の微細な構造(結合組織)の微損によって起こるものと考えられ、アイシングして筋肉を伸び縮みさせないことが痛みを取る早道のようです。
筋肉の伸び縮み方は短縮性収縮と伸張性収縮があります。前者は腕相撲で、優勢な状態で筋力を発揮している収縮です。後者は反対に、劣勢な状態でひじが伸びている収縮です。前者と後者では、ひじが伸びている伸張性収縮の方が運動エネルギーの消費が大きく、筋細胞の微損が生じやすいと考えられています。
このような筋肉痛を防ぐためには、トレーニング中に筋肉が伸びるときに注意を払うべきです。例えば、手のひらと腕の内側を胸側に向けてひじを曲げ、両手に握ったバーベルやダンベルを肩まで引きつける上腕二頭筋の筋力トレーニング(アームカール)があります。ひじを曲げる間は力強く行い、元に戻すとき、すなわち筋肉が伸びていく間はゆっくりと動かすというリズムを取ることが大切です。
(田中誠一=浜松大教授・東海大名誉教授)